では、決算書を知り、使いこなす能力がどんな場面で役に立つか、
少し、考えてみましょう。
就活中の学生、新社会人、転職を考えている人にとって、
決算書は、どのように役立つか?
さて、就職の際、会社は、あなたが事前に提出した履歴書や職務経歴書を見ることができます。
一方、あなたに、そうした会社に対する分析ツールがないのか、というとそうではありません。
会社のHPには沿革や会社概要のほかに
決算公告や大きな会社であれば決算書がフルセットで公開されています。
これは主に投資家、取引先のために公開されているのですが、
就活生や転職希望者でも同じように利用することができます。
・入っても年収が下がりそうだ
・結構借金が多いわりには事業がうまくいっていないんだな
・社員と役員の年収格差が激しいぞ
・儲かっているように見えるけど、資産を売り払って利益を出しているのか
など、決算書の見方、読み方を知っているかどうかで、会社の分析力に大きな違いが出てきます。
決算書は、会社でどのように活用されているのか?
さらに会社で、どのように決算書が活用されているか、を見ていきましょう。
たとえば、営業部の場合、新規の取引先が財務的に健全か?
つまり、倒産の危険性のチェックを決算書を使って行います。
せっかく売っても資金回収できなくては大変です。
決算書が読めれば、相手の会社が倒産の危険性が高いかどうか、は簡単にわかります。
人事部の場合は、採用コストや教育コストの最適なバランスを
直近の決算書に基づいて計算することができます。
一人当たりの売上や利益が大きい事業部門がある場合、
積極的に採用することで、さらに急成長する可能性があります。
決算書を読み解くチカラは、特に管理職になると役立つ
管理職なると他の部門の人と話す機会が多くなります。
他部門とは、数字という共通言語を使って、話し合うことになります。
例えば人事の管理職が採用計画を作り、総務部門に希望予算を
説明するような場合をイメージしてみましょう。
説明するために「数字」を使うと説得力があります。
最近、A事業の調子がいいので
A事業への採用を強化しようと思います。
と説明するのと
ここ5年のA事業の〇〇利益率は平均で年13.5%伸びています。
しかも、この市場は年平均20%近く成長しています。
当社ではA事業について、他の事業と平等に新規採用を行っていますが、
重点的に人材を投入すれば、市場平均に近づけるものと考えます。
と説明するのでは、説得力が違うのではないでしょうか。