3分で読める!決算書-会計に関するコラム集 ①

3分で読める!コラム集

コラム集では、決算書・経営分析あるいは経営全般に関するさまざまな問題を考えていきます。
「はじめての決算書 はじめての経営分析ドットコム」独自の視点で、紹介していきます。
気軽に楽しんでください。

                                                                       中小企業研修協会 編集部

売り上げ拡大の甘い罠

サラリーマンにとって、会議は面倒でイヤなものです。とくに営業マンにとっては、あまり成績が伸びていない時の営業会議や販売会議はつらいものでしょう。 

営業会議において、営業マンが、

「今月の売上高は、○○万円で、計画目標を達成しました。
 前月よりも○%の伸びです!」

と元気よく発言すれば、この結果に対して、とやかく口を挟む先輩や同僚は少ないはずです。
目標計画は達成されているし、前月比も伸びているからです。

しかし、管理職なら手放しで喜んでいてはいけません。

「利益は、いくらか?」

と、質問をすべきです。

営業マンが、成績を上げるために利益を押えて、販売した可能性もあるからです。
売上高の伸びだけに目を向けるのではなく、「利益」にも目を向けなければなりません。

売上高の拡大のウラには、ときに利益の減少という「甘いワナ」があることを忘れてはなりません。

経営分析でわかること。わからないこと。

先日、ある上場会社が、倒産しました。おもな原因は、市況の悪化に伴う売上の低迷です。
しかし、この会社は、倒産前から経営陣の対立がウワサされていた会社でした。
オーナーである社長と取締役たちとの経営方針をめぐる衝突です。
会社の経営方針を指揮する経営陣の内部対立が、その会社の倒産に結びつく例は、少なくありません。
しかも、これらの会社内部の衝突は、いくら経営分析をおこなっても、わかりません。
経営陣の人間関係は、数字には表れないからです。

しかし、売上や経費の推移を経営分析していくとこの会社が何らかの問題を抱えていたことが、
わかってきます。
経営分析は、決して万能ではありません。
しかし、会社経営の変化を見出す有力なツールであることは間違いありません。

配当利回りと定期預金

「配当利回り」とは、株への投資に対して、配当金がいくらもらえるか、を計算したものです。

たとえば、1,000円あたり、10円の配当なら、年1%の配当利回りとなります。
配当利回りは高いほど投資する価値が高いといえるでしょう。

不況の中、定期預金の利率が、大変低くなっています。1%を切る利率が当たり前のような状態です。
このようなことを考えると「配当利回り」の高い、株への投資が有利に思えてきます。
ただし、株というものは、投資したお金そのものが、会社の倒産や下落によって、大きく目減りするリスクがあります。
つまり、配当金をもらえるどころか、元本そのものを失くしてしまうリスクがあるのです。
一方、定期預金は、利率は低いかもしれませんが、元本を失うことがありません。

そういう意味では 現実な投資といえるでしょう。
何事も他人より大きな利益を追求すれば、それなりのリスクが発生することを忘れてはなりません。

リストラの限界を考える

最近の新聞に「リストラの限界」について書かれた記事が掲載されていました。

売上高低迷に苦しむ会社が、さまざまな諸経費や人件費の削減に着手。
さらに最悪の場合、人員削減などのあら治療をしてきた。
しかし、それでも成熟した市場において、利益の確保をするのが困難になりつつあるという内容でした。
つまり、「リストラの限界」です。この「リストラの限界」に対する解決策は、単純です。

解決策は、「売上拡大」のみです。

どんなに諸経費を削減しても、そもそもまず売上が確保されていなければ、どいにもなりません。

売上があるからこそ、次の課題として経費の見直しなどの議論になるのです。
売上を確保するために何をすべきか?「営業社員確保」「広告費の投入」「マーケティング調査」「新商品の開発」などなど。あらゆる経営戦略が考えられます。
しかも、これらは、リストラ策として、列挙されてきた事柄そのものです。
「人員削減」「広告費の削減」「商品開発費の見直し」・・・。

「リストラの限界」の先は、皮肉にも「リストラそのものの否定」なのかも知れません。

純資産と配当金の関係

株式会社は、利益を出せば、どのような会社でも「配当金」を出せるわけではありません。

会社の「純資産額が300万円以上」ない場合は、配当金は出せないのです。

これは、会社法で禁止されています。
理由は、「債権者保護」のためです。
株式会社が、さまざまな出資者からお金を集め、経営されている仕組みを考えれば。当然と言えば当然の法律です。

監査法人の変更について

金融商品取引所に上場されている、いわゆる「上場企業」は、公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければなりません。
監査法人は、上場企業が作成した決算書である貸借対照表や損益計算書が、正しく作成されていることを「監査」するわけです。
上場企業は、相当数の得意先や仕入先会社、株主あるいは、金融機関との取引がありますから、当然、社会的責任が重くなります。
その重い責任をもつ会社の責務の一つに正しい決算書の作成があるのです。

さて、監査法人の変更が意外に多いことをご存じでしょうか?

変更した理由はさまざまですが、その一つの「監査報酬の見直し」があげられるそうです。
つまり、会社が、より安い監査報酬の監査法人へ変更したというわけです。
監査法人によって、監査報酬は異なりますが、新聞報道によりますと中堅監査法人の監査報酬は、大手監査法人の2から3割安いそうです。
あらゆる業界で価格破壊が起きていますが、監査法人の世界にも厳しい価格破壊が起きているようです。

東芝 不正会計 粉飾決算 監査法人や公認会計士を取り巻く世間の厳しい目は増すばかりのようです。

役員報酬の開示について

上場企業を対象に一定額以上の報酬を受け取る役員の氏名と金額が開示されるようになりました。
その金額の妥当性が騒がれています。

人間だれしも自分の苦労はわかりますが、他人の苦労を理解することは難しいものです。
有名企業の過酷な出世レースを勝ち抜き、「利益」という結果を出し、社員とその家族を含めた何万人もの生活を支える日々のプレッシャーを考えれば、高額な役員報酬も妥当なものと考えることもできます。
報酬を受け取る役員にすれば、当然と思うでしょう。
一方で、会社は役員の経営判断だけでは、動かないことも事実です。
その経営判断を忠実に遂行する優秀な社員がいなくては成り立ちません。
そういう意味では、会社はチームプレー。社員の給与に比べ、突出した役員報酬なら、その金額に疑問符がつきます。現場で働く社員たちは、高額な役員報酬に違和感を持つかも知れません。

今回、開示された役員報酬は、上場企業が対象です。
すなわち、外部から資金調達をしている以上、経営の中身をクリーンにオープンにすべきだという考え方に基づいています。

役員報酬の開示は、さまざまな意見のあるところですが、世間に開示されることで、報酬をもらう役員自身が、今まで以上にその責任の重さを感じるとすれば、 有意義な方向性といえるのではないでしょうか。

減価償却と設備投資について

決算書の知識をつかって、経済の動きを知ることができます。
その代表的な指標に「減価償却費」と「設備投資」の関係があります。
減価償却費とは、おもに工場でつかう設備である機械の「資産価値の低下分」です。
どんな機械も使えばつかうほど資産価値は減少します。
視点を変えれば、現在の設備投資を維持するために必要な最低限のコストといえるでしょう。
設備投資は、会社がおこなう将来への投資ですから、設備投資の金額が、減価償却費を下回るようなことになれば、設備が実質的に減ることになります。
反対に設備投資が、減価償却費を上回れば、会社の設備が充実し、会社が成長方向に向かっていると判断できます。
決算書の知識で、経済動向を知ることができる一例です。