3分で読める!決算書-会計に関するコラム②

3分で読める!コラム集②

コラム集では、決算書・経営分析あるいは経営全般に関するさまざまな問題を考えていきます。
「はじめての決算書 はじめての経営分析ドットコム」独自の視点で、紹介していきます。
気軽に楽しんでください。

リストラと労働分配率について

今、リストラに関する本が、多く販売されています。

会社としては、過剰人員を整理して生き残りをかける、ということなのでしょう。
一部の社員を犠牲にし、その他おおぜいの社員を助ける、というわけです。
そういう意味では、リストラする会社側にとって、リストラは、「よいこと」なのかも知れません。

しかし、何十年も一生懸命、会社のために働いてきたのに、突然、解雇通告を受ける社員の立場を考えるとやり切れない気持ちでいっぱいになります。

当HPの経営分析でも紹介している「労働分配率」が、社員の人件費を考える有効な経営指標になります。
リストラという最悪の事態になる前に、経営者は、適切に会社の舵を切らなければならない責務があるのではないでしょうか。
そして、社員の生活と将来を犠牲にするリストラは、経営者としての「資質と能力の欠如」であることを忘れてはなりません。

建設業界の談合について

建設業界の談合を題材にしたドラマや小説が多くあります。

談合とは、何か?もっとも単純にいえば、特定の業者が、仲間うちで公共工事などに代表される入札金額を事前に取り決め、受注することです。
仲間うちで、順番に工事を請け負い、それなりの利益を確保する業界の「慣習」というわけです。

談合に参加している会社は、一定の仕事が定期的に受注できるので、この慣習は有意義であり、魅力的だといえます。
しかし、その談合に加わることのできない会社には、当然、不満が生まれます。
たとえば、受注金額を安く、しかも高い技術で仕上げることのできる会社なら談合は、公平な競争原理が働かない「許されない悪習」に違いありません。

また、消費者あるいは、納税者にとって「談合」は、どう評価すべきでしょうか。

本来、公平な競争原理が働けば、安くすむ工事も談合のために割高になってしまうことになります。

談合は参加企業の利益確保が目的ですから、100億円でできる公共工事が、談合によって、120億円で受注されることは当然ありえるわけです。
そういう意味では、私たち納税者は、支出しなくてもよいムダな税金を「談合」によって、負担させられているといえます。

また、談合している会社にとっても、談合自体が、果たしてよいのかどうか、長期的には疑問があります。
それというのも談合は「なれあい」ですから、会社の経営手腕やコスト管理・工事技術能力が磨かれないという弊害が生じるためです。

こうして考えると、長い間、日本の社会に深く根ざしてきた「談合」は、『会社』と『社会』そして『時代』から 取り残されつつある「古き慣習」になりつつあるといえるのではないでしょうか。

製造業の採算ラインについて

かつて、新聞で「製造業の採算ライン」が、急低下しているという記事が掲載されたことがありました。
つまり、採算ラインとは、言い換えれば、会社の「損益分岐点」が下がっているということです。
単純にいえば、利益を確保しやすい経営体質になっているということです。
損益分岐点を下げる方法は、大きく2つあります。一つは売り上げを伸ばすこと。
2つめは固定費であるコストを引き下げることです。
一般的には、損益分岐点を下げると利益が出やすくなり、不況に対する抵抗力が強まる、といわれています。
しかし、今回の記事によると、固定費が大きく削減されたことが、採算ライン改善に大きく寄与しているとのことでした。
固定費を大きく占めるのは、社員の給料である人件費ですから、素直に喜べない側面がありそうです。

すなわち、大胆なリストラや給与削減が背景にあることが推測されるからです。
「会社残って、社員滅ぶ」か、「社員残って、会社滅ぶ」か。今回の記事から垣間見られるのは、日本の製造業に携わる経営者と社員が、国際競争のなかで、ますます厳しい立場に置かれていることの再認識です。

受注と売上の違い

受注と売上の違いは『「受注」が売上の予測』、なのに対して『「売上」は売上の決定』ということになります。

会社というものは、利潤追求の目的集団です。
日々、売上を追求、そして利益を確保しなければなりません。
そういう意味では、厳しい世界です。
そうであるから会社は、売上の予測をつねにしていく必要があります。

「つまり受注=売上の予測です」

売上の予測を立てることで、利益の予測も計画できるわけです。
売上の予測がつけば、資金確保の必要性、つまり、銀行からの借入金の計画もたてることができます。

一方で、受注は、あくまでも「売上の予測」ですから不確定要素が多いのも事実です。
客先の都合で計画倒れ、担当営業マンの見込み違い、などです。

受注をいかに売上に結び付けるか、すべての会社の難問といえます。

売り上げの増加と倒産

会社が急速に売り上げを拡大していれば、「勢いのある会社」あるいは、「元気な会社」というようなイメージを持つのではないでしょうか。
実際、会社の業績を判断するのに売上高の伸びは、非常に重要なチェックポイントになるに違いありません。
しかし、この急速な売上拡大をしている会社は要注意する必要があります。
資金繰りが苦しく、資金確保のために原価割れでの売上をしていることも考えられるからです。
倒産した企業が、その直近の決算において、創業以来、最高の売上高を計上しているというのは、そういう会社の事情があります。
売上の拡大とともに十分な利益が確保されているのか、会社の業績を判断するうえで、「売上」と「利益」は、切り離せない視点です。