3分でわかる!キャッシュフロー計算書の重要性をわかりやすく解説します
キャッシュフロー計算書の重要性について、商社勤務の実務家がやさしく解説します!
キャッシュフロー計算書が、なぜ重要なのか?
ここでは、かなりくわしい事例をつかって、キャッシュフロー計算書を解説します。
この記事では、初心者でもキャッシュフロー計算書の重要性をやさしく解説していきます。
この記事でわかること
- キャッシュフロー計算書のお金の動きがわかります
- 損益計算書とキャシュフロー計算書の残高がズレる理由がわかります
それでは、キャッシュフローについて解説していきます。
なぜ、キャシュフロー計算書は重要なのか?
キャシュフロー計算書が重要な理由は、貸借対照表や損益計算書では、お金の動きを知ることができないからです。
貸借対照表には、現金や当座預金の項目があります。
さらに損益計算書では、会社の利益を計算しています。
なぜ、わざわざキャッシュ・フロー計算書を作成する必要があるのでしょうか。
それは、事業をおこなううえでは、お金の動きを知ることが重要だからです。
そして、お金の動きを知るのが、キャッシュ・フロー計算書だからです。
キャッシュフロー計算書と損益計算書との違いは?!
たとえば、商品を掛けで売り上げたとき、損益計算書では売上を計上します。
しかし、掛けであるため、お金は、入金されていません。
したがって、手元にキャッシュはゼロです。
また、貸借対照表でも現金ではなく売掛金が増えるだけです。
つまり、損益計算書では、お金の動きを知ることができません。
「売上は計上されたが、手元のキャッシュはゼロ」という状態がありえます。
損益計算書とキャッシュフロー計算書の違いは、作成基準が異なることです。
このため、キャッシュフロー計算書の現金残高と損益計算書の利益金額は異なります。
なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。
たとえば、売上高1,000円。
営業諸費用800円なら利益は200円です。
しかし、売上高の1,000円が、今期中にすべて現金回収されるとはかぎりません。
また、営業諸費用の800円もすべてが、現金による支出とはかぎりません。
たとえば、売上高のうち800円が現金回収をした。
さらに営業諸費用のうち500円が現金による支出とすれば、現金残高は300円となります。
損益計算書は、収益は、実現主義、費用は、発生主義という基準で作成されています。
これに対し、キャッシュフロー計算書は、現金の収入と支出に基づき作成されています。
このため、キャッシュフロー計算書は、会社の経営実態をより反映した決算書である、といえます。
損益計算書の当期純利益とキャッシュフロー計算書の残高が
異なる理由は?!
ここからは、損益計算書の当期純利益とキャッシュフロー計算書の残高が異なる理由を考えてみます。
5つのケースを使って、くわしく見ていきましょう。
なお、キャッシュフロー計算書は、簡単な「現金収支表」として説明していきます。
事例① すべての取引が現金で行われ、商品在庫が発生しない場合
当期の取引は以下のとおり。損益計算書と現金収支表を作成します。 (単位:千円)
現金売上 10,000
現金仕入 7,000
販売費(現金支払) 1,000
損益計算書
科目 |
金額 |
売上高 |
10,000 |
売上原価 |
7,000 |
販売費 |
1,000 |
当期純利益 |
2,000 |
現金収支表
科目 |
金額 |
現金売上 |
10,000 |
現金仕入 |
7,000 |
販売費 |
1,000 |
現金収支残高 |
2,000 |
【事例1】のケースでは、すべての取引が現金で行われた。
さらに、仕入れた商品がすべて売れ、在庫がない場合です。
このようなケースでは、損益計算書の利益と現金収支表の残高は、完全に一致します。
このことを言い換えると、資金の滞留がないということです。
事例② 商品の一部を掛けで仕入れた場合
当期の取引は以下のとおり。損益計算書と現金収支表を作成します。 (単位:千円)
現金売上 10,000
現金仕入 4,000
掛仕入 3,000
販売費(現金支払) 1,000
損益計算書
科目 |
金額 |
売上高 |
10,000 |
売上原価 |
7,000 |
販売費 |
1,000 |
当期純利益 |
2,000 |
現金収支表
科目 |
金額 |
現金売上 |
10,000 |
現金仕入 |
4,000 |
販売費 |
1,000 |
現金収支残高 |
5,000 |
【事例2】のケースでは、損益計算書の当期純利益は2,000円です。
一方、現金収支表では、仕入代金のうち3,000円は、掛で仕入れた。
このため、現金の支出はありません。結果的に5,000円の残高増となっています。
事例③ 仕入商品に売れ残り(在庫)があった場合
当期の取引は以下のとおり。損益計算書と現金収支表を作成します。 (単位:千円)
現金売上 10,000
現金仕入 7,000(うち、売上原価6,500 在庫 500)
販売費(現金支払) 1,000
損益計算書
科目 |
金額 |
売上高 |
10,000 |
売上原価 |
6,500 |
販売費 |
1,000 |
当期純利益 |
2,500 |
現金収支表
科目 |
金額 |
現金売上 |
10,000 |
現金仕入 |
7,000 |
販売費 |
1,000 |
現金収支残高 |
2,000 |
【事例3】のケースでは、損益計算書の当期純利益は2,500円です。
一方、現金収支表では、仕入7,000円は現金支払いです。
このうち、500円は売れ残り在庫となります。
したがって、その分現金減少し、2,000円の残高となっています。
事例④ 商品の売り上げの一部が、掛けであった場合
当期の取引は以下のとおり。損益計算書と現金収支表を作成します。(単位:千円)
現金売上 6,000
掛 売上 4,000
現金仕入 7,000(うち、売上原価7,000)
販売費(現金支払) 1,000
損益計算書
科目 |
金額 |
売上高 |
10,000 |
売上原価 |
7,000 |
販売費 |
1,000 |
当期純利益 |
2,000 |
現金収支表
科目 |
金額 |
現金売上 |
6,000 |
現金仕入 |
7,000 |
販売費 |
1,000 |
現金収支残高 |
▲2,000 |
【事例4】のケースでは、損益計算書の当期純利益は2,000円です。
一方、現金収支表では、売上代金のうち、6,000円は現金での収入。4,000円は掛けです。
このため、4,000円分の現金収入はありません。
その分が現金減少し、2,000円の赤字残高となっています。
事例⑤ 固定資産と減価償却について
当期の取引は以下のとおり。損益計算書と現金収支表を作成します。 (単位:千円)
現金売上 10,000
現金仕入 7,000(うち、売上原価7,000)
販売費(現金支払) 1,000
減価償却費 500
損益計算書
科目 |
金額 |
売上高 |
10,000 |
売上原価 |
7,000 |
販売費 |
1,000 |
減価償却費 |
500 |
当期純利益 |
1,500 |
現金収支表
科目 |
金額 |
現金売上 |
10,000 |
現金仕入 |
7,000 |
販売費 |
1,000 |
現金収支残高 |
2,000 |
【事例5】のケースでは、損益計算書の当期純利益は1,500円です。
一方、現金収支表では、減価償却費の500円は、現金での支出がありません。
このため、その分の現金が増加し2,000円の残高となっています。
いかがでしたでしょうか。
損益計算書とキャシュフロー計算書の違いがかなり【事例】ごとに理解できたのではないでしょうか。
損益計算書では、わからないお金の動きがキャッシュフロー計算書ではわかるのは、このような理由からです。
キャッシュフロー計算書の重要性のまとめ
- キャッシュフロー計算書が重要な理由は、貸借対照表や損益計算書では、お金の動きがわからないからです。
- すべての取引が、現金でおこなわれない限り、損益計算書とキャッシュフロー計算書には、ズレが出る