3分でわかる!発生主義をやさしく解説します!
発生主義について、
商社勤務の実務家がやさしく解説します
発生主義は、会計学の用語です。
はじめて聞いたという人も多いのではないでしょうか?
しかし、これから決算書や経営分析を学んでいくうえでは、知っておくべき会計知識です。
ちょっと難しいかも知れませんが、頑張って、ざっくり読んでいきましょう!
この記事では、初心者でも発生主義が、よくわかるようにやさしく解説していきます。
この記事でわかること
- 発生主義の基本がわかります
- 現金主義の基本がわかります
それでは、発生主義について解説していきます。
現金主義とは何か
損益計算書を作成するとき「費用」と「収益」を計上するタイミングにはルールがあります。
ルールがなければ、それぞれの会社が、好き勝手なタイミングで費用や収益を計上します。
そんなことになれば、損益計算書の存在自体が、客観性と信頼性を失うことになります。
ここでは、そのルールである発生主義を解説していきます。
発生主義を知るためには、まず、現金主義を知る必要があります。
ざっくり、現金主義を解説していきます。
「現金主義」とは、現金収支の時点で費用や収益を認識する考え方です。
【例1】で具体的に考えてみましょう。
【例1】
3月に商品2,000円を仕入れ、3,000円で売り上げた。
なお、3月に仕入代金は支払った。売上代金は4月に入金される予定である。
この例で、現金主義を考えてみましょう。
現金主義とは、実際の現金の動きで、費用と収益を認識する考え方です。
このため【例1】は、3月の段階では、商品を売っているにも関わらず、売り上げはゼロになります。
売り上げの代金が、入金されていないからです。
一方で、仕入れ代金は、支払っていますから、費用の認識はします。
このため、3月の収支は、2,000円の赤字になります。
売上 | 0 |
仕入 | 2,000 |
損失 | 2,000 |
現金主義会計の場合、取引の実態と利益にズレが生じます。
つまり、現金主義会計では適切な損益計算書を作成することはできない場合があるのです。
そこで、発生主義の考え方が必要になります。
発生主義とは、費用の計上ルールの一つです
発生主義とは、モノやサービスを使った時点で費用や収益を計上する会計ルールです。
損益計算書における費用の計上ルールは「発生主義」が原則です。
たとえば、ボールペンや消しゴムなどの消耗品費の計上を考えてみましょう。
発生主義では、ボールペンや消しゴムを使ったときに費用を計上します。
なぜ、このような結論に達するのか?
さらに具体的にみていきましょう。
発生主義を具体的に考えてみましょう
発生主義とは、価値の増減が発生した時点で費用、収益の認識を行うことです。
さきほどの【例1】を発生主義で考えれば、以下のような常識的な利益が計算されます。
売上 | 3,000 |
仕入 | 2,000 |
利益 | 1,000 |
論点は、費用と収益を“いつ“認識するか?ということです。
発生主義会計は、会計を考えるうえで、非常に重要です。
発生主義では現金の増減に関係なく費用・収益を認識することになります。
このため、取引実態にあった利益を計算することができます。
これが、会計学で、発生主義が採用されている理由です。
ところが、発生主義にも難点があります。
費用だけでなく、収益も多く認識してしまうということです。
つまり、収益の認識に発生主義を適用にすると、不確実性の高い案件も収益に計上する恐れがあるためです。
つまり、粉飾決算の温床になりかねないわけです。
この点を補うために「実現主義」という考え方があります。
売り上げの計上時期については、実現主義という会計ルールがあります。
【実現主義】についてもっと詳しく知りたい人のために、わかりやすい解説をした記事をご用意しました。
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発生主義のまとめ
- 損益計算書における費用の計上ルールは「発生主義」が原則です。
- 発生主義とは、モノやサービスの価値の増減が発生した時点で費用、収益を認識することです。
- 収益の計上ルールに発生主義は採用しません。粉飾決算の温床になるからです。
- 収益の認識は、実現主義になります。