「費用収益対応の原則」とは何か?初心者向けにやさしく解説!【はじめての決算書】
「費用収益対応の原則」について、やさしく解説します
目次

費用収益対応の原則は、会計学の用語になります。
はじめて聞いたという人も多いかも知れません。
しかし、決算書や経営分析を学ぶうえでは、知っておくべき会計知識になります。
ちょっと難しいですが、頑張って、ざっくり読んでいきましょう!
この記事では、初心者でも費用収益対応の原則が、わかるようにやさしく解説していきます。
この記事でわかること
- 費用収益対応の原則の基本がわかります
- 適正な期間利益とは何か?がわかります
それでは、費用収益対応の原則について解説していきます。
費用収益対応の原則で、適切な利益が計算される
まずは、簡単な例で、「費用収益対応の原則」を考えてみましょう。
商品を1,000,000円で仕入れ、2,000,000円で売った。
従業員の給料は、200,000円、店舗の家賃は500,000円を支払った。
これを損益計算書で表示すれば、以下のとおりです。

この損益計算書は、売上のために支出した費用がすべて計上されています。
つまり、しっかりと費用と収益が対応しています。
そのため、利益は適切な金額となります。
費用収益対応の原則とは、損益計算は、かならず費用と収益は対応させて計算する。
という原則です。
つまり、費用と収益をしっかり対応させることで、適切な利益が計算できる、ということです。
費用と収益の対応を考える
基本的に、費用の支出がなければ、売上を計上することができません。
たとえば、商品を販売するためには、商品を仕入れなければなりません。
また、商品を販売する社員の給料を支払わなければなりません。
さらに、商品を販売する場所の確保のために店舗を賃借する必要があります。
これらのことを要約することで、導かれる結論は、
利益とは「売上」と「その売上獲得のための費用」との差額で計算される。
つまり、費用と収益が対応している、とは、つぎのようなことになります。
・売上
・その売上を獲得するためにかかった費用
これらが同じ損益計算書に計上されることです。
損益計算書

この損益計算書、費用(緑色)と売上(水色)が対応しています。
対応していない状態とは、片方のみが単独で存在する状態といえます。
以下のような片方の部分だけ色がついた状態では、費用と収益が適切に対応していません。
損益計算書

損益計算書

損益計算書においては、「費用」と「収益」は適切に対応していなければなりません。
少し言い方変えると「費用」と「収益」は、それぞれが適切に関わりあう必要があります。
たとえば、売上高と売上原価の関係を考えてみましょう。
お客さんにモノやサービスを売らなければ、売上は計上できません。
では、そのモノやサービスの費用は損益計算書では、どのように表示されているでしょうか。
これは「売上原価」です。
このため、売上高と売上原価はとても深く関わりあっているといえます。
損益計算書において、このような費用と収益との関係を「費用収益対応の原則」というわけです。
費用収益対応の原則が必要な理由
A社は、製品を製造しているメーカーです。
3月に1,000,000円分の材料を使ったとします。
しかし、製品の製造途中なので、当然ながら売上は計上できません。
このとき、材料を使った分である1,000,000円が費用となります。
ところで、これは、適切な費用の計上といえるでしょうか?
一般論で考えれば、
製品が売れた時点で、製品の製造費用を計上すべきでしょう。
こういう考え方に基づき、費用収益対応の原則が成り立ちます。
適切な利益を計算するためには、費用収益対応の原則が必要なのです。
減価償却費を費用収益対応の原則で考える
費用収益対応の原則を知ると、減価償却費の計上の理解を深めることができます。
減価償却費 ×× / 備品 ××
減価償却をすることで、固定資産の購入費用(取得原価)を、耐用年数にわたって費用計上できます。
「固定資産を使用することで獲得した売上」と「そのための購入費用」を対応させることができるのです。
費用収益対応の原則とは、PLに計上する費用は、収益に対応するものにしましょう、という原則
費用収益対応の原則を知るうえで、
【発生主義及び実現主義】についてもっと詳しく知りたい人のために、わかりやすい解説をした記事をご用意しました。
こちらをご参照ください。
参考記事
↓
費用収益対応の原則のまとめ
- 費用収益対応の原則とは、費用とそれにともなう収益を対応させる原則
- 適切な期間計算のためには、費用収益対応の原則という会計ルールが必要