3分でわかる!実現主義をやさしく解説します
実現主義について、
商社勤務の実務家がやさしく解説します!
実現主義は、会計学の用語です。
はじめて聞いたという人も多いのではないでしょうか?
しかし、これから決算書や経営分析を学んでいくうえでは、知っておくべき会計知識です。
ちょっと難しいかも知れませんが、頑張って、ざっくり読んでいきましょう!
この記事では、初心者でも実現主義が、よくわかるようにやさしく解説していきます。
この記事でわかること
- 実現主義の基本がわかります
- 実現主義の認識基準がわかります
それでは、実現主義について解説していきます。
実現主義とは、収益を確実に認識することです
実現主義とは、モノやサービス代金の受け取りが、確定した時点で収益を計上するルールです。
少し、難しくいうと売上代金である現金や売掛金などの「債権」が確定した時点で収益を計上する。
その会計ルールが実現主義と考えてください。
たとえば、お客さんに車を売ったとします。
常識的には、車を売った時点で、売上高を計上します。
しかし、車に欠陥があり、売上直後にお客さんからクレームがあった場合はどうでしょうか。
商売である以上、当然ながら、このようなケースも考慮する必要があります。
したがって、お客さんが、車に何ら問題がないことを確認し、納入書にサインした時点で売上を計上する。
納入書にサインしてもらったことで、車の代金の支払いが確実になります。
実現主義とは、このようなイメージです。
つまり、売上の計上をより慎重に確認するという会計ルールと考えて下さい。
実現主義の重要性
実現主義は、売上を“いつ“認識するかということが、論点になります。
収益・費用の認識時点は次のようになっています。
- 売上の認識 実現時点
- 費用の認識 発生時点
実現主義は、商品を販売した時点で売り上げを認識する方法です。
販売時点での売り上げ認識には、2つの要件が必要です。
- 商品を相手に渡した、またはサービスを提供した
- 現金や売掛金などを受け取った
【実現主義の具体例】
当社はB社へ商品3,000円を引き渡し、代金は掛けとした。
当期の売上はいくらか?
実現主義の2要件に当てはめてみましょう。
2要件は
- 商品を相手に渡した、またはサービスを提供した
- 現金や売掛金などを受け取った
商品を渡した→○
掛けで売った→○
よって、2要件を満たすので収益認識する。
なお、受け取る対価は現金に限りません。売掛金といった債権でも②の要件を満たします。
そのため、掛け売上は収益計上します。
発生主義は、粉飾決算の温床?!
発生主義は、売り上げの計上認識に不適切な考えになります。
売上に発生主義を適用すると、収益を発生時点で認識することになります。
そうなれば、売れる前に売り上げを計上することになります。
たとえば、文具店で、ボールペンを100,000円仕入れて、150,000円で売るとします。
例年、完売するため、発生主義で、150,000円売り上げを計上します。
しかし、今年は、ライバルである競合文具店が、出店したため、全く売れなかった。
つまり、蓋を開けてみたら全く売れず、本来の売上はゼロだった、という事態もありえるわけです。
このように、収益に発生主義を適用すると、客観的事実のない売上計上になってしまうのです。
このような収益の計上があると、粉飾決算が横行することになります。
【費用収益対応の原則】についてもっと詳しく知りたい人のために、わかりやすい解説をした記事をご用意しました。
↓
実現主義まとめ
- 実現主義とは、売上をいつ認識するか、を決める会計ルールです。
- 実現主義の認識基準は2つあります。①商品やサービスを客先に渡した。②現金や売掛金を受け取った。