3分でわかる!減価償却費をやさしく解説します

減価償却費について、
商社勤務の実務家がやさしく解説します

減価償却費という言葉を聞いて、何となくイメージできる人は、意外に多いのではないでしょうか?

身近なイメージとしては、マイカーでしょう。
新車購入時から、月日を重ねるごとに当然ながら車の価値は下がっていきます。
この下がった分の価値が、減価償却というイメージです。

ちょっと格好つけて、表現すれば、所有する資産の価値低下が減価償却です。


この記事では、初心者でも減価償却費が、よくわかるようにやさしく解説していきます。

この記事でわかること

  • 減価償却費の基本がわかります
  • 減価償却費の計算方法がわかります

それでは、減価償却費について解説していきます。

減価償却費とは、資産価値が低下した部分です。

どんな新しい商品も、繰り返し使用すれば、やがて、傷み、古くなります。
また、その商品価値も、歳月を重ねるたびに、どんどん、低下していきます。
これは、市場に出回る商品である以上、避けて通れない現実です。

100万で購入した新車も利用年数とともに、商品価値は下がります。
数年後に売却するときには、購入価格の100万円より、かなり低い金額になります。
つまり、商品や資産というのは、大抵の場合、歳月とともに価値が低下します。

減価償却費とは、この資産価値の減少部分を表現する言葉です。

減価償却と「消しゴム」

「消しゴム」をイメージしてください。
消しゴムは使えば使うほどどんどん小さくなり、やがてなくなってしまいます。
今、残っている消しゴムが資産価値です。
一方、使ってなくなった部分が資産価値の減少部分である「減価償却費」というわけです。

  • 減価償却費の計上は、決算整理の一つです。

一般的に、固定資産である建物や備品などの購入代金は、高額になります。
その結果、購入費用をその事業年度に全額計上すると、当然、費用が多額になります。
つまり、本来、黒字だった事業年度が、その費用の計上により、赤字になる可能性があります。
そこで、会計としては、出来るだけ費用と収益を適切に対応させることが必要となってきます。
これを「費用収益対応の原則」と言います。
「減価償却」はとても大切な会計のルールで、購入費用を何年かに分けて計上するのが基本です。

減価償却は、建物や備品を購入した際に、1度にその費用を計上するものではありません。

その後、何年かに分けて費用計上するものです。
ざっくり言えば「長い間使用するものは、長い時間をかけて費用にしていく」ということです。

【費用収益対応の原則】についてもっと詳しく知りたい人のために、わかりやすい解説をした記事をご用意しました。

こちらをご参照ください。
参考記事

 ↓

費用収益対応の原則とは何か

減価償却費を計算してみましょう

それでは、減価償却費を具体的に計算してみましょう。

【例】車を100万円で購入。償却期間5年。5年後の下取り価値はゼロ。

この場合の減価償却費は、つぎのように計算されます。

購入価格(100万円)÷償却期間(5年)=減価償却費(20万円)

1年間に20万円の資産価値が減少することになります。
これを減価償却費20万円として計上するわけです。

減価償却費の計算方法は定額法と定率法がある

減価償却費の計算法は、定額法と定率法の2つあります。             

  • 定額法

定額法とは、購入した固定資産の代金を耐用年数期間で、同額ずつ償却していく方法です。

【例】固定資産の購入金額 100万円。耐用年数5年

100万円÷5年=20万円。

5年間で、20万円ずつ定額で償却していきます。

  • 定率法

定率法とは、毎年、未償却の金額から一定の割合で償却していく方法です。        

【例】固定資産の購入額 100万円。耐用年数5年。償却率0.4%。

1年目 1,000,000円×0.4%=400,000

2年目 (1,000,000ー400,000)円×0.4%=240,000

(注)この時点で、固定資産の価値は、360,000円です。

3年目 360,000円×0.4%=144,000

というようなイメージになります。

【参考記事】産業革命と減価償却

イギリスの産業革命は、多くの新興産業を生み出しました。
その代表的なものといえば、蒸気機関車をあげる人も多いのではないでしょうか?

鉄道会社は、蒸気機関車に代表される車両、駅舎、レール、陸橋など、ちょっと考えるだけでも
巨額の支出が必要になります。

ちなみに産業革命のこの時点では、会計を「収入、支出」で、計算していました。
この会計で、考えていきますと、鉄道会社は、事業初年度は、巨額の支出による赤字を計上する
ことになります。
その一方で、2年目から収入が入ります。
このため、2年目は、黒字になるわけです。
仮に事業年度の1年目、100億円の支出による赤字。
2年目、10億円の収入による黒字。

これは、正しい計算か?
会計学は、これでよいのか?
という素朴な問題にぶつかったわけです。

ここで、減価償却という、新しい会計ルールを導入することになったのです。
減価償却は、初期投資した巨額の支出を数年間にわたって「費用」計上するという考え方です。

たとえば、100億円の初期投資を20年間で、5億円ずつ「費用」計上できるとします。
そうすれば、2年目は、収入10億円、費用5億円で、利益が5億円となるわけです。

会計学が、「収入、支出」という考え方から、「収益、費用」という考え方に大きく転換する
ことになったポイントが、減価償却といわけです。

言い換えると、現金主義から発生主義に大きく会計学が転換したわけです。
会計学は、理論も大事です。
しかし、一方で、実務に沿った実践的な学問である、という歴史の一面があります。


減価償却費のまとめ

  • 減価償却費とは、資産の価値減少分です。
  • 減価償却費のわかりやすく表現すれば、消しゴムのイメージです。
  • 減価償却費の計算方法には、定額法と定率法の2つがあります

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